1日自動車保険の基礎知識
1日自動車保険の身近な事故と補償例②

1日自動車保険が役立つ身近な事故例と補償とは

1日自動車保険は無保険運転事故の救世主!?

1日自動車保険の補償内容と事故
1日自動車保険は、他人のクルマを運転するときに加入できる自動車保険で、他人の車を運転中に万が一事故を起こしてしまっても通常の自動車保険のような補償やロードサービスなどを受ける事ができます。

1日自動車保険が発売される前は、他人の車を借りる際、ドライバー保険しか選択肢がなく、数日しか乗らなくても通常の自動車保険のように保険代理店の窓口などで契約1年更新のタイプに加入しなければなりませんでした。

1年契約のため保険料も決して安くはなく、そのためドライバー保険に加入しないまま他人の車を運転し、事故を起こしてしまうというケースが多発していました。

それが、2012年に東京海上日動が1日単位で加入できる1日自動車保険を発売したのをきっかけに、2015年には三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保も販売を始め、 1日自動車保険は瞬く間に普及していきました。

1日自動車保険は、ワンコインの500円から加入する事ができる手軽な自動車保険ということで自分の車を持っていない若い世代を中心にどんどん人気が高まってきています。

インターネットやスマートフォンで簡単に申し込みができ、中にはコンビニエンスストアで申込できるものも登場しています。

保険料が安く加入手続きも簡単なことから無保険運転事故の防止に一役買っています

1日自動車保険の補償について

1日自動車保険は、基本補償とオプションとして付帯できる特約の2種類で構成されています。

基本補償については、対人賠償保険、対物賠償保険、搭乗者傷害保険、自損傷害保険、対物超過修理費用特約、ロードサービスなどがあります。

対人対物保険の保険金額については各保険会社で無制限になっており、搭乗者傷害保険の保険金額も1,000万円、自損事故保険については死亡時1,500万円が設定されています。

これらの補償は通常の自動車保険と同じ水準なので万が一事故をしてしまっても通常の自動車保険に加入している人と同じように補償されるので安心して車を運転することができます。

保険商品
ちょいのり保険
1DAY保険
ワンデーサポーター
保険会社 東京海上日動火災 三井住友海上 あいおいニッセイ同和損保
対人賠償 無制限 無制限 無制限
対物賠償 無制限 無制限 無制限
対物超過修理費用
搭乗者傷害(入院) 1000万円/
一時金
1000万円/
一時金
1000万円/
一時金
自損傷害
車両復旧費用
(免責金額)
上限300万円
(スタンダード:15万円、プレミアム:10万円)
上限300万円
(Bプラン15万円、Cプラン10万円)
上限300万円
(15万円)
車両手荷物補償
弁護士費用補償
ロードサービス
(運搬費用)

(15万円限度)

(30万円限度)

(30万円限度)
事故故障不随費用

他人の車は事故リスクが高まる

他人の車を借りて運転する場合、自分の車を運転するよりもリスクが高いと言われています。

なぜかというと、まず、他人の車に乗るということは、乗り慣れていないので運転操作をミスしたり、判断ミスを起こしてしまう可能性が高くなるのです。

普段、全く運転しない人は運転に慣れていない状態で車を運転するわけですから、普段運転する人に比べると事故をする可能性は高くなるのは一目瞭然です。

また、借りた車は他人の所有物であるということも重要なポイントです。

自分の車であれば、万が一事故をして車が全損になったとしても自分自身の問題となりますが、借りているその車は自分のものではありません。

ちょっとでも傷をつけたりすれば車の所有者に対する賠償の問題となります。

傷がついて修理をして返すという程度で済めばまだいいとして、万が一全損にしてしまったら新しい車を買って返さないといけなくなってしまいます。

事故のケースから1日自動車保険の重要性を考察

身近な事故で例えると、他人の車を運転しているときに脇見運転をしてしまい、ガードレールに衝突してしまった場合どうなるでしょうか。

この場合、ほとんどのケースで運転していた車は傷が入ったり、へこんだりするでしょう。

そんな時に、1日自動車保険の車両保険付きのプランに加入していれば、自己負担となる免責金額は10万円、15万円などと設定されていますが、自己負担の免責金額分だけ負担すれば、残りの修理代は車両保険の上限金額の範囲内で保険会社が支払ってくれるので安心です。

単独事故であれ、車同士の事故であれ、事故を起こしてしまうと借りた車に何かしらの損害が生じます。

自動車の修理代はどのくらいかかるか知らない方も多いかもしれませんが、車の修理は、ちょっとした傷の修理でも10万円を超えてしまうケースは多くみられます。

借りている車が古い車だろうが高級車であろうが車の持ち主からすれば自分の車に傷がついたら直してほしいと思うのが普通でしょうから修理代の負担は避けて通れないリスクとなります。

借りている車を運転しているときに、よそ見やわき見、居眠りなどの前方不注意で前の車に突っ込んでしまう追突事故を起こしてしまった場合、500円の基本プランの1日自動車保険に加入していたとしたら、相手の車の修理代、代車費用、相手の治療費や慰謝料は1日自動車保険から補償してもらえます。

ただし、基本プランには車両保険は付いていないので、借りて運転していた車の修理代は全額自己負担となりますので車両保険には絶対加入しておいたほうがいいでしょう。

事故がおきてしまったときに相手がいた場合、過失割合はどうなるのか、示談交渉は自分でするのかなど不安な点がたくさんあるのではないでしょうか。

事故に遭った場合の対応と手順

万が一、事故をおこしてしまったら、事故現場でどのような対応をしたらいいのでしょうか。

相手がいる事故で、ケガ人がいる場合、最優先にすべきことはけが人の救護です。

すぐに119番に電話して救急車の手配をすると、119番から警察に連絡を入れます。

先に警察に電話しても警察から119番への連絡をしてくれますが、救急車が早く到着するためには119番に連絡を入れるほうを優先にしたほうがよいでしょう。

車は路肩に移動させたり、停止表示板を置いたり発煙筒を焚くなどの行動も必要となります。

なぜなら、事故を起こしてしまった車に気づかずに後方から走っている別の車が追突してしまうというケースがよく起こっているからです。

また、視界の悪い夜に事故をおこしたり、カーブの出口での事故などでは二次的な事故を招きやすくなるので注意が必要です。

もし、車は路肩に移動させたり、停止表示板を置いたり発煙筒を焚くなどの行動をしなかったためにさらなる事故を招いてしまった場合、二次的な事故に対しては自動車保険の補償対象外になってしまう可能性もあるのです。

事故をしたときに警察に連絡すると、警察官が現場に来て、交通誘導や現場検証を行ってくれ、事故証明書を発行してくれます。

警察を呼ばなかった場合、事故証明書が発行されないため、自動車保険の補償を受けれない可能性もありますので十分注意しましょう。

次に、事故の相手の連絡先等を確認するとのも忘れてはいけません。

相手がいる事故を起こしてしまったらその相手の氏名、住所、連絡先、ナンバープレートの番号、加入している自動車保険の保険会社名は必ず聞いておいてください。

これらの情報を聞かなかったら相手の自動車保険からの補償を受けることができなくなってしまいます

これらの対応が終わったら、自分が加入している1日自動車保険の保険会社の事故受付ダイヤルに連絡しましょう。

事故受付担当者に事故の状況や相手の情報などを伝え事故の受付をしてもらいますが、保険会社への連絡は事故をした相手がいる事故現場で速やかに連絡したほうがいいです。

もし、自分の車が自力では走行できない状態だったらロードサービスの補償を使ってレッカー移動などの手配をしてもらいます。

また、事故現場で、相手に直接賠償請求をされるケースもあります。

ここで注意しておかなければならない点は、事故をした相手と直接賠償に関わることを話したり、約束をしたりお金を払ったりすることは絶対しないようにすることです。

このような場合は、示談交渉はすべて保険会社にまかせるので何も約束はできないと伝え、加入している自動車保険の保険会社を通すことを断固として主張しましょう。

もし、保険会社を通す前に相手に直接お金を払ってしまったり、賠償に関する約束などをしてしまったら、状況によってはその分の補償が受けられなくなる可能性もあるので十分注意が必要です。

被害者を大けが・死亡させてしまった場合

車を運転中に、歩行者をひいてしまい、大怪我や死亡させてしまった場合はどうなるのでしょうか。

事故をした相手(人)に対しての損害賠償については、まずは自賠責保険が適用され自賠責保険から保険金が支払われます。

万が一自賠責保険では足りなかった時に任意保険の対人賠償から残りが補償されるという流れになります。

自賠責保険は事故にあってしまった人に対しての補償として国から加入義務付けられている強制保険です。

自賠責保険は最低限の補償となりますので、被害者1名につき死亡で最高3,000万円、後遺障害で最高4,000万円、傷害で最高120万円と決まっています。

相手のケガが軽かった場合、自賠責保険の補償で十分まかなえるのですが、ある程度の重いケガの場合や、万が一相手を死亡させてしまったときのことを考えるとこれらの金額で足りないケースもたくさんあるので、自賠責保険は最低限の補償と言わざるを得ないのです。

では、相手を死傷させてしまった場合、自賠責と任意保険の両方に連絡が必要かというと、実は被害者の利便性などを考慮して自賠責の保険会社へ連絡しなくても、任意保険の保険会社に事故の連絡を入れれば良いとされています。

任意保険の保険会社が自賠責の分も合わせて全ての処理を行ってくれ、保険金も一旦任意保険の会社が全て支払い、後で任意保険会社から自賠責保険の保険会社へ請求する仕組みになっているからです。

車で歩行者にぶつかりケガをさせてしまったなどの軽い事故の場合、自賠責保険の補償だけで足りるケースもたくさんあります。

しかし、事故後の損害額というのは、示談交渉が終わってから決まることになりますし、対人賠償を使う可能性がある事故となると、保険会社が代理で相手との示談交渉などを行ってくれます。

ですから自賠責保険でカバーできる軽いケガで済んだような事故でも、まずは任意保険の事故受付窓口に連絡して、任意保険の保険会社から示談交渉をしてもらい、損害賠償の補償も受けていいのです。

過失割合について

相手がいる事故をした時に必ずついてくるのが過失割合というものです。

過失割合とは、事故をおこしたときに、相手と自分のどちらがどれだけ悪かったかという割合を決めるものです。

事故をしたら警察に届けて事故証明書を発行してもらうので、過失割合は警察が決めると思っている方も多いようですが、実は相手との示談交渉の中で決定されるものになりますので、過失割合を決めるのは当事者同士なのです。

事故の後に当事者同士で示談交渉を行い、互いの話し合いの中で過失割合が決められ、決めた過失割合に応じてお互いが相手に支払う損害額が決まるのです。

相手と自分が示談交渉をするというのはスムーズにいくものではありません。

しかし、自動車保険の契約には示談交渉サービスが付いているので、基本的に自分の保険会社と相手の保険会社が自分と相手に代わって示談交渉を代行してくれます。

その保険会社同士の示談交渉の結果、当事者双方が合意することで過失割合が決まり、示談成立となります。

損害賠償額の決定方法と逸失利益について

では、具体的に、車同士の事故で相手の方にケガをさせてしまい、相手の車も壊れてしまった場合、どのような損害賠償が生じてしまうのでしょうか。

相手の方にケガをさせてしまった場合に、治療費や慰謝料、働けない間の収入などの補償が必要となります。

これらの賠償は自賠責保険から支払われ、自賠責保険で足りない分を対人賠償から補償されます。

相手の車に損害を与え修理が必要となった場合は修理費が必要となり、その賠償については対物賠償から補償されます。

万が一、相手が亡くなってしまったら、葬儀費用と死亡慰謝料、逸失利益などを合わせた額が損害賠償額となります。

逸失利益とはどういうものかというと、交通事故で被害者が死亡した場合、生きていれば得られるはずだった収入を賠償するというものです。

例えば、20代の会社員の方が亡くなった場合、生きていれば生涯得られるはずの収入は数億円となる可能性が合ったのですが、死亡したことで得るはずだった収入がなくなったため、逸失利益として賠償しなければならないのです。

過去には、高額所得者である40代開業医を死亡させたとして、逸失利益が5億円近くになった判決もあるので、対人賠償の無制限がいかに重要か理解できるかと思います。

総括

このように、事故をした時には思いがけない賠償責任を負うことになってしまうので1日自動車保険に加入することは非常に重要となります。

1日自動車保険に加入すれば全ての賠償をカバーできるとはいえませんが、対人賠償保険および対物賠償保険については無制限の補償となりますので、万が一他人に大けがを負わせてしまったとしても、治療費を支払うことができないなどという事態は避けられます。

また、運転している自分や搭乗している方への補償も無制限ではありませんが必要最低限の補償は受けることができるので安心しておいていいでしょう。

上記でも述べているように借りている車への補償は車両保険付きのプランに加入していないと補償されないため、車両保険を付帯して加入することをおすすめします