長期休みや年末年始などに実家に帰省して親の車を借りて運転するケースはよくありますよね。しかし、親の車とはいえ自分の車ではないため、事故に対するリスク対策は非常に重要です。
そんなときに役に立つのが、1日自動車保険です。
1日自動車保険は人から車を借りて運転する場合に加入できる短期の自動車保険で、最短1日から最長7日まで契約することができます。
この記事では、親の車を運転する際に使える1日自動車保険の補償内容や、1日自動車保険に加入する前に確認しておくべきポイントを紹介します。
親の車の場合、親が加入している自動車保険を自分も使える場合があります。そうなると1日自動車保険は必要なくなるため、その点を事前に確認しておきましょう。
親の車を借りて運転する場合は1日自動車保険の対象

1日自動車保険は他人が所有している車を借りて運転する際に活用できる1日自動車保険ですが、契約対象にならないケースもいくつかあります。
そのため、1日自動車保険に契約する際には、まず自分の状況が契約対象となるのかどうかを確認することが重要です。
親の車を借りて運転する場合は、1日自動車保険の契約対象になります。
ただし、「親の名義で購入した車だが、実質的な所有者は自分」といった場合には、親の車であっても1日自動車保険に契約できない場合があるため、注意しましょう。
そもそも親の車を運転する場合には1日自動車保険が必要?
中には、「家族だから親の車には自由に乗っても問題ない」「親の車にもともとかけられている保険を使えばいい」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、いくら親子とはいえ、親の車にかけられた自動車保険が子供にも適用されるかどうかは別問題です。
自動車保険には、補償の範囲を自動車の所有者(記名被保険者)だけに絞るなど、補償範囲を狭めて保険料を割安にする運転者限定特約があります。
もし親の車にかけられた自動車保険で補償の対象となる運転者が所有者(親)だけに指定されていた場合、子供が車を借りて運転し事故を起こした場合、自動車保険は適用されません。
親と同居しておらず実家に帰省したときだけ親の車を借りるといったケースでは、自動車保険の補償適用範囲から子供を外していることも珍しくありません。
そのため、親の車であっても万が一のときに備えて1日自動車保険の加入を検討することは重要です。
1日自動車保険の補償内容とは

ここでは、1日自動車保険の補償内容を解説します。
1日自動車保険は1日保険とも呼ばれるように、最短1日から加入できる自動車保険です。短期間の手軽な保険とはいえ、通常の自動車保険と比較しても十分な補償やロードサービスを備えています。
また、特約を付帯することもできるので、補償内容を手厚くすることも可能です。
1日自動車保険の補償内容
対人賠償責任保険 | 借りた車の運転中の事故等によって他人を死亡・後遺障害・ケガを負わせた場合、法律上の損害賠償金について補償する。ただし、契約が加入している自賠責保険などから支払われる金額を除く。 |
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対物賠償責任保険 | 借りた車の運転中の事故等によって他人の財物に損害を負わせた場合、法律上の損害賠償金について補償する。ただし、契約が加入している自賠責保険などから支払われる金額を除く。 |
対物超過修理費特約 | 対物賠償責任保険が適用されるケースで、事故の相手方の車の修理費が時価額を超え契約者が差額を負担する場合、所定の金額について補償する。 |
搭乗者傷害特約(一時金払) | 借りた車の運転中の事故等によって搭乗者(運転者・同乗者)が死亡・後遺障害・ケガを負った場合、所定の金額が支払われる。 |
自損事故傷害特約 | 借りた車の運転中に自損事故を起こし、乗者(運転者・同乗者)が死亡・後遺障害・ケガを負った場合、所定の金額が支払われる。 |
ロードアシスト | 借りた車の運転中に事故を起こした場合、自分の車の搬送費用(レッカー代など)が補償される。また、ガス欠時のガソリン配達、パンク時のスペアタイヤ交換などもある。 |
車両補償 (選択するプランによって有無が異なる) |
借りた車の運転中の事故によって、乗車していた車に損害が生じた場合、修理もしくは買い替えのために発生した費用について補償する。ただし、免責金額(10万円~15万円)がある。 |
付帯できる特約
付帯できる特約は、保険会社によって異なります。
そもそも基本補償や車両補償以外に追加の特約を用意していない保険会社もあるため、加入時にプランをよく確認しましょう。
弁護士費用特約 | 借りた車を運転中に発生した自動車事故に関する弁護士費用や相談費用などを補償する |
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事故時代車費用補償特約 | 借りた車を運転中に発生した事故により代車が必要になった場合、代車を借りる費用を所定の範囲で補償する |
家族の中でも、配偶者名義の車は契約対象外

ここまで解説してきたとおり、親の車は1日自動車保険の契約対象です。
ではその他の家族、たとえば自分の兄妹の車や配偶者の車は、1日自動車保険に契約することができるのでしょうか?
実は、家族の車の中でも、配偶者の所有する車は1日自動車保険の契約対象外。一方、兄妹の所有する車は1日自動車保険に契約することが可能です。
親の車 | ○ |
---|---|
兄・姉・妹・弟の車 | ○ |
配偶者の車 | ✕ |
夫婦の場合、どちらかが車を持っていれば夫婦2人で車を運転することも多く、実質2人で所有しているようなかたちになるケースが多いでしょう。
そういったこともあり、配偶者名義の車は1日自動車保険の対象外になります。
もし配偶者に車を貸したときのリスク対策をしたいのであれば、自分が加入している自動車保険の補償範囲に配偶者も含まれるように設定しましょう。
運転者限定特約が「本人限定」になっている場合には配偶者が含まれなくなってしまうため、「本人・配偶者限定」や「限定なし」などを選択すると良いでしょう。
1日自動車保険に加入する前に確認しておきたいポイント

最後に、親の車を借りて運転する場合に1日自動車保険に加入する際、事前に確認してくべきポイントを解説します。
親の車の自動車保険で、自分も補償範囲に入っているかチェック
先にも何度か触れましたが、通常の自動車保険では「運転者限定特約」という特約を付帯することで補償の対象となる運転者を限定し、保険料を割安にできる仕組みがあります。
運転者の限定が「本人限定」になっていれば自動車の所有者のみが補償対象となりますが、家族で使う車として購入した場合、「家族限定」などに設定されていることが多く見られます。
もし親の車の自動車保険の運転者限定特約が「家族限定」や「限定なし」などに設定されていた場合、わざわざ自分で1日自動車保険に加入しなくても、事故時の補償を得ることができます。
親の車を借りるときに、保険証券などを確認して設定を確認してみましょう。
ただし、もし親の車の自動車保険で子供も補償範囲に含まれていたとしても、中には「事故に遭ったときに子供に自動車保険を使ってほしくない」と思うご両親もいるかもしれません。事故に遭遇して自動車保険を使うと、翌年から保険料が上がってしまうためです。
「帰省して、たった数日運転するだけなら1日自動車保険に加入してほしい」という場合もあるかもしれないので、親の車を借りるときにはご両親と相談してみてください。
車両補償を付帯させる場合には早めの手続きが必要
1日自動車保険では、車両補償の有無はプランによって変わります。
車両補償とは、親の車を借りて事故に遭った際、親の車がうけた損害の修理費を補償するものです。車両補償がなければ自分が運転していた車の修理費は全て自己負担になってしまいます。
運転に自信がない方などはぜひ検討しておきたい車両補償ですが、実は1日自動車保険に車両補償を付帯させる場合には、保険期間を開始させたい日から最低8日前には事前登録をしておく必要があります。
1日自動車保険の車両補償無しプランであれば、1日自動車保険が必要になるその日に事前登録から手続きを済ませれば問題ありませんが、車両補償ありの場合は当日申し込みをすることはできません。
車両補償の付帯を考えている方は、時間的な余裕を持って1日自動車保険の事前登録を済ませるようにしましょう。
まとめ:親の車を借りて運転する場合でも保険はよく検討しよう
今回は、親の車を借りて運転する場合の1日自動車保険について解説してきました。
1日自動車保険は、親の車を借りて運転する場合は契約対象です。親の車以外にも、兄妹が所有する車を借りるときにも1日自動車保険は利用できますが、配偶者が所有する車は対象外という点に注意してください。
また、親の車にかけている自動車保険の補償範囲に子供が含まれている場合も多くあります。その場合、1日自動車保険に加入しなくても補償を得ることが可能です。
ただし、中には自分の自動車保険を使わず1日自動車保険に加入してほしいというご両親もいるかもしれないので、親の車を借りるときに相談してみましょう。